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三味線の知識
Shamisen
起源
日本の伝統的芸術音楽の楽器はほとんどが大陸から伝来したものです。三味線は一番新しく16世紀の中ごろ伝来したといわれています。 三味線は楽器分類ではリュート属と言い世界中に大変仲間の多いグローバルな楽器で、5千年前の古代エジプトのピラミッドの中の壁画に三味線と似た楽器を弾いている女性の姿があります。 16世紀中ごろに外国から入った三味線は17世紀中ごろになって大流行しました。江戸時代に爆発的に流行したのは、外国から入って間もない新しい楽器だったからではないでしょうか。明治になって新しく入った西洋音楽が、1960年代になってすっかり日本の若者に溶け込んで大流行したのと似ていませんか。
演奏の場
三味線の活躍の場は、歌舞伎、日本舞踊、文楽などが目立つ場所ですが、一中節は少人数で数寄屋造りの料亭の空間などで味わってこそ、その真価が理解できる音楽です。大きな空間では大勢で演奏するほうが効果的ですが、普通一中節は一人か二人で演奏します。 三味線のみで演奏する曲がないのが不思議です。必ず浄瑠璃や歌という声楽と一緒に演奏されます。ただし伴奏というわけではなく、それぞれが自立的に語り、歌い、演奏する複合的な音楽構造を持ちます。バッハ以前のポリフォニー的な感覚と似ていると、マタイ受難曲を聴いたときに思いました。
調絃
三味線には3本の絃が張られています。その調絃は世界的に主流の、完全4度、完全5度の組み合わせですが、本調子、二上り、三下りなど数種類の調絃を一曲の中で使い分けることが特徴です。 三味線は基準になる音の高さ、たとえばギターの一番低い絃の音が常にEだったりするのと違い、一定していません。演奏者の気分、演奏する場所の広さ、コンクリート造りか、数寄屋造りか、または湿度、などの条件、歌う人の声域(男性と女性では大変違います)によって基準になる音、すなわち一番低い絃の音を自由に選び、調絃します。これは、一番低い音のする絃が「さわり」と言う共鳴絃を兼ねているためで、もちろん各絃の間の相対的な音程は変わりません。これは三味線の際だった特徴かもしれません。 私にとって三味線の調絃は、楽器の音を合わせるのではなく、自分を自然の摂理と一体化させることだと感じています。三味線は非常に調絃が不安定な楽器で、常に調整しながら演奏します。その固定されていない不安定さが、深い精神性や、微妙な心理描写、情景描写に適しています。人間も自然の一部だと感じて、自然の摂理と感覚的に一体化しないと、決して調子は合いませんし、いい響きは出ません。
楽器の構造
三味線の構造は、紅木(こうき)という固い木の長い棹(ネック)の部分と、花梨製の胴の部分からなり、胴には猫または犬の皮を張り、駒によって、絹製の絃の振動を皮に伝えて音を出します。 糸の太さは3本ともに十数種類ものバリエーションがあり、棹の太さ、求める音色によって使い分けます。駒の形状も同じくたくさんの種類があり、材質も象牙、舎利(動物の骨)、水牛の角、鼈甲、桑、などがあります。撥は象牙が主流で、稽古用に木製、プラスチック製があります。
流派と楽器
三味線は演奏する音楽の流派によって、微妙ですがまったく違った特徴を持つそれぞれの流派専用になっています。大きく分ければ、義太夫、津軽などに用いる太棹、一中節、常磐津、清元、小唄などに用いる中棹、長唄などに用いる細棹の三種類に分けることができます。たとえば津軽三味線で一中節を演奏することは絶対に不可能です。 太棹三味線は、音量も大きく迫力のある音色が特徴です。 中棹は、太棹と細棹の中庸を行き、繊細な音色から劇的な表現力まで、優雅で品のいい音楽から粋でいなせな気分まで、幅の広い表現力が特徴です。 細棹は、さわやかなさっぱりとした音色が特徴です。 それぞれの流派によって、楽器だけでなく、演奏法もまったく正反対の場合もあります。 たとえば細棹を使う長唄では、練り撥という、撥が糸に触れている時間が長い奏法は絶対にいけないことで、撥は糸に触れている時間は短く瞬間的に音を出すのをよしとしますが、一中節では、糸を柔らかくなでるように撥先で引っ張ってゆっくりと撥から糸が離れていくことにより生じる余韻を非常に大切にします
流派と楽器
三味線は演奏する音楽の流派によって、微妙ですがまったく違った特徴を持つそれぞれの流派専用になっています。大きく分ければ、義太夫、津軽などに用いる太棹、一中節、常磐津、清元、小唄などに用いる中棹、長唄などに用いる細棹の三種類に分けることができます。たとえば津軽三味線で一中節を演奏することは絶対に不可能です。 太棹三味線は、音量も大きく迫力のある音色が特徴です。 中棹は、太棹と細棹の中庸を行き、繊細な音色から劇的な表現力まで、優雅で品のいい音楽から粋でいなせな気分まで、幅の広い表現力が特徴です。 細棹は、さわやかなさっぱりとした音色が特徴です。 それぞれの流派によって、楽器だけでなく、演奏法もまったく正反対の場合もあります。 たとえば細棹を使う長唄では、練り撥という、撥が糸に触れている時間が長い奏法は絶対にいけないことで、撥は糸に触れている時間は短く瞬間的に音を出すのをよしとしますが、一中節では、糸を柔らかくなでるように撥先で引っ張ってゆっくりと撥から糸が離れていくことにより生じる余韻を非常に大切にします
一中節の三味線
私は一中節を学んでいくうちに、一中節では三味線は森羅万象のすべてを表現できる楽器として存在していると思うようになりました。人の心情と自然の現象のすべて、哲学的概念、数学的概念、およそ人が感じることができるあらゆることを的確に表現できることが前提に作曲されています。表現に限界がなく、もし表現できないとすればそれは奏者にすべて責任があると考えられています。 あらゆることに対応できる「手」といういわゆるメロディーパターンが、きわめて精緻に整理整頓されていて、それらを音楽構造として的確に組み合わせることと、繊細巧緻な演奏技法でどんなことでも表現しきることが要求されています。 それが一中節の三味線が格段に難しく、また面白いといわれる所以です。